SECRET TOUR


雨が降っていた。全てのものを、しなしなと柔らかくする霧のような雨が降っていた。

神奈川県藤野駅

山あいの小さな駅の改札をぬけ、短い藤棚のある階段をおりてゆくと、人通りのない街道に出る。左にまがり暫らく行くと大きなトンネルがある。

中央高速道路の下

時々轟音を上げながら通り過ぎる車に注意しながら、遠くに見えるあかりを頼りに暗くて長いトンネルを歩いて行く。
時々後ろをふりかえっては、確かに前に進んでいる、と自分にいいきかせる。

沢井の川

漸くトンネルをぬけると、両側の山々がぐっと近づいてきた。左手には道に寄り添うように川が流れ、水音が、立ち止まるたびに聞こえてくる。

まもなくあのレンガ色のカーブの所を歩く私が見える・・・。

山あいの家

ぽつりぽつりと点在する家々の入り口を眺めたり、

選挙ポスターの貼られた家

思わぬ道草を食うことになる。

小さな橋

40分ほど歩いただろうか。森の入り口でもあるかのように小さな橋が、細くなってきた川の上に架かっている。

森のトンネル

立ち止まって橋の向こう側を覗いてみる。しかし大きな葉の茂った木が橋の上に倒れかかっていて・・・・。
ぼんやりと低く煙った空は、時々あたりを明るく銀色に染めては雨を振りまくようになった。
確かに何かの気配がする。
水を含んで重さを増した大きな葉っぱに触れないように、ゆっくりと、苔むした幹の下をくぐって入って行くことにした。

蔓の笊

三つ葉あけびの蔓の這う柔らかな地面を踏みしめながら行くと、何やら大きな笊のようなものが立っている。
建てられてからずいぶんと時が経っているらしく、いろいろな蔓や、草がからんでいる。

蔓の笊 10年後

10年が過ぎる

食卓

このような

食事

雨に濡れたテーブルの上には食事の用意がされている。いったい誰の為の食事なのだろう・・・・。

食卓 5年後

5年後
       時は全てのものに等しく

骨-1

骨のような形と色

骨-2

勢いのいいのは植物だけで・・・・・。

藤野の風景

神奈川県相模原市藤野
沢井地区に16年の歳月は流れる

rain bird

16年間
植物の嵩-かさ-

1994-2009 Fujino, Sagamihara, Kanagawa
Fieldwork in Fujino 1993-2004

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